ツバキ(八重咲) 英国王立園芸協会(RHS)創立200周年記念〔植物画の至宝展〕で展示された貴重な植物画です。RHS本部リンドリー図書館には約22,000点のボタニカルアートが所蔵されています。
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ツバキ(八重咲)
(Double white Camellia japonica)
アップルビー、キャロライン・マリア
(Applebee, Caroline Maria, ?−1854年)
水彩、紙、約22×20cm
署名、年記なし
キャロライン・マリア・アップルビーは、18世紀後半にロンドンで生まれ、1854年同じくロンドンで没した。3巻にわたる彼女の画集は、20世紀初頭に、それぞれ別の出所からRHSライブラリーに寄贈された。おそらく、アップルビーの素描は、彼女の死後、家族に分配されたのであろう。これまで家族については何も明らかになっていないが、描かれた多くの温室植物から、彼女は中流の上層階級の出身であったと思われる。なぜなら、ガラスや煉瓦、木に対する税金が廃止される19世紀半ばになって初めて温室が広く普及するようになったからである。画集の製本業者のひとつが、コルチェスター(Colchester)の会社であることから、彼女はエセックスに住んでいたか、少なくともそこである時期を過ごしていたようである。
アップルビーの素描の制作年は、1808年から1852年の長期にわたっている。最も初期の画は、彼女がまだほんの子どもの頃に描かれたにちがいない。彼女は、葉脈のような細かい部分の描写については、経験を重ねるほどに上達させたが、構図の腕前に関しては、初めから歴然としていた。彼女の作品において、当時の園芸の流行をたどることができる。つまり、画集第1巻ではチューリップが描かれ、その後、ラナンキュラス(ranunculus)へ移行し、最終巻ではカルセオラリア(calceolaria)が登場している。
ツバキは18世紀末イギリスに入り、新しい品種作りが1840年代まで盛んに行われた。ここに描かれているのは名前のない改良種だが、花弁が真中にぎゅっと詰まり星形を描くように広がるという、19世紀前半に好まれた典型的なタイプである。1880年代までにはもっとゆるやかに開いた不規則な形の花弁が好まれるようになった。アップルビーが花弁と葉に留まった水滴を描いていることに注意したい。17世紀の植物画家ヤン・ファン・ハイスム(Jan Van Huysum)が、鏡のような表面の水滴を描いて有名になってから、他の植物画家たちも競ってそれを真似た。アップルビーの時代には、植物学外のことにこだわる態度を、プロの植物画家は蔑視するようになっていたが、多くのアマチュア画家たちには依然として腕のふるいどころであった。